若者のブルマー離れがより深刻に2010/04/01

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 昔はどこの学校でも体育の時間になると男子生徒は体操服に短パン、女子生徒は体操服にブルマーが一般的な光景だった。しかしここ数年、中高生を中心に体育の時間にブルマーを着用せず短パンやジャージを用いる傾向が見られ、ブルマーの着用率は現在ではピーク時の1割以下になった。ブルマーだけではなく制服やスクール水着にも広がりつつあり、回復は容易ではない。

 平成11年6月23日に施行された男女共同参画社会基本法に男女の人権を尊重した結果、保護者や知識人より「男女の服装において差別があってはならない」との声が多く挙がったことを踏まえ、女子生徒も短パンやジャージを求めるようになったという。さらに、希少になったブルマーを求めて学校に押し寄せたり校舎外からの盗撮、盗難の被害が相次ぎ、ブルマーの減少に拍車を掛けている。

 メーカー側も深刻だ。70年代後半のブルマーブームを牽引した業界最大手のミヅノも数年前から学生用のブルマー市場からは撤退し、現在ではアスリート向けのブルマーのみを生産することを余儀なくされている。ほかの大手も同様の状況だ。コグレは年約1000万着、カンヨーが年500万着の生産能力に対して、2009年の実際の生産実績はともに100分の1程度にとどまった。

 日本ブルマー連合会によると、国内生産は80年の6800万着をピークに減少が続く。若者のブルマー離れに加え、各社が生産拠点を販売が増える新興国に移してきたためだ。生産世界一の座は95年に中国に譲った。1952年の統計開始から最大の減少率で、生産着数は過去最低の水準だ。

 日本では1960年代までは綿100%だったブルマーを、東京五輪でアメリカ代表が使用するものをヒントに生み出した同じポリエステル樹脂を使用したものとし、日本女子バレーボールチームの活躍とともに若者のあいだで町中でもジャージを身につける「ブルマーブーム」というものが起こった。ブルマーにもファッション性を重視したモデルが流行し、様々なニーズが広がっていた。繊維メーカーのがこぞってブルマー市場に参入したが、ブームの収束とともに多くの企業が撤退していった。現在も残るメーカーは約30程度で、そのうち大手メーカーが全体の9割以上のシェアを占める。

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