ループ麒麟獅子。

鳥取砂丘を堪能した後は、鳥取市内を周遊する観光バス「ループ麒麟獅子」に乗り鳥取城跡を目指します。
「ループ麒麟獅子」は後方座席にちょっとしたスペースがあるタイプの観光バスで、仙台市内を走る観光バスに似ている感じでした。
ちなみに運賃は300円均一料金で、鳥取砂丘に行くなら路線バスに乗るよりも安いけれども本数が少ないため時刻をしっかりと調べておかないといけないようです。
なにはともあれ、予定通りに鳥取城跡に到着しました。

鳥取城跡では地元の方がボランティアで観光ガイドを行っているそうですが、今回はガイドは頼みません。
ガイド以上に詳しい友人がいろいろと鳥取城跡を紹介してくれました。


城は久松山に沿って建物が並び、奥に向かうにつれ徐々に山に登ってゆく城になっています。
鳥取城が歴史の舞台で注目されたのは、羽柴秀吉による鳥取城の兵糧攻めの時。
名将と呼ばれた吉川経家が鳥取城を強固に守ったけれど、補給の面で秀吉のほうが一枚上手だったようです。

江戸時代には姫路城修築などで池田輝政の弟の池田長吉が鳥取藩藩主となってからずっと池田氏が治めていたそうですが、明治に入り廃城令などによって鳥取城は解体。いくつかの遺構を残すのみとなっています。
近年、鳥取城の観光資源化を目指して少しづつですが鳥取城の復元を行っているようです。


中仕切門。

まず訪れたのは、鳥取城に遺る唯一の建築物の「中仕切門」。
幕末期に建てられた門で、まずはここから入ってゆきます。
鳥取城跡は久松山に沿っているため非常に高低差が激しく、結構しんどいです。
しかし立派に積まれた石垣や、櫓や門があった跡があちこちに見ることが出来、当時の風情を楽しむことが出来そうです。


鳥取城の石垣。

鳥取城は山城なので、江戸時代に入って時が経るにつれて徐々に組織の中心を山の麓に移動させていったようで、天守もかつては山の上にあったそうだけど落雷で消失したあとは再建されず、三階櫓がその役目の代わりをしていたそうです。
鳥取城は享保の時代に石黒火事と呼ばれる大きな火災があり、その影響で黒く焼けた石垣が残るなど、爪痕を今に残しています。
落雷とか火災とか、災難が多かった城なのかもしれません。


仁風閣。

鳥取城を一通り見たところで、丸の内跡にある仁風閣を見学します。
仁風閣は旧鳥取藩主の池田仲博侯爵が当時の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の山陰行啓時の宿泊施設として建築したフランスルネッサンス様式の西洋館です。
1907年建築当時の姿を今に伝えている貴重な建物で、国の重要文化財に指定されている建物なのだそうです。

仁風閣という名前は東郷平八郎元帥海軍大将が命名したもので、館内には東郷平八郎元帥直筆の「仁風閣」という文字が飾られています。
また館内には当時のままの調度品が展示されていたりと明治・大正時代の貴族の暮らしを見ることが出来ます。

この仁風閣を見るにあたって注目すべき所は「窓ガラス」なのだそう。
綺麗な窓ガラスもあれば、曇ったり波打って角度によっては曲がって見えるようなガラスもあり、質が悪そうなガラスであるほど明治期に作られたガラスなのだとか。
館全面にガラスを使っているため時々割れるらしく、新しいガラスと古いガラスの両方が混在していました。


谷口ジロー氏のポスター。

館内を見ていると、鳥取県の歴史を紹介する特別展の内部で面白いものを発見。
2009年頃に鳥取県東部の観光を目的とした、谷口ジロー氏のポスターも飾られていました。
「孤独のグルメ」で一躍有名になった谷口ジロー氏は実は鳥取県出身。
その縁あって鳥取県の観光ポスターにも抜擢されたようです。
このポスターは既に廃版になっているそうなので、仁風閣の方に頼んで特別に撮らせていただきました。

唖然こんなポスターを撮る人は本当に物好きだよね…


吉川経家の銅像。

最後に、鳥取城跡近くに建てられている、吉川経家の銅像を見学します。
鳥取を治めた池田氏ではなく、鳥取城攻めの際の城主だった吉川経家の像があるというのはそれだけ吉川経家が有能だったのかもしれません。

ちなみに吉川経家の子孫とされているのが、今は亡き五代目三遊亭圓楽。
そのため銅像の方も五代目三遊亭圓楽に似せて作った、とかいないとか。
言われてよく見るとなんとなく「笑点」司会全盛期の頃の五代目三遊亭圓楽っぽく見えます。

思っていたよりも見るところが多くて楽しかった鳥取城跡。
城には歴史があるので、それを知って見るとまた見方が変わってきますね。

◆関連日記
さよなら餘部鉄橋・鳥取観光の旅【目次】



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