◇ 山を見よ 山に日は照る ◇
「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。
踏み出せば、その一足が道となる。迷わず行けよ、行けばわかる。」 (アントニオ猪木 一休禅師)
◇ 遭遇 ◇




遂に、遂に我々の前に姿を現した。
左上より、和風サーモンピラフ、カルボエッグ、納豆サボテン卵とじスパ、そして甘口小倉抹茶スパである。
甘口小倉抹茶スパが届けられたとき、店内からどよめきと失笑が漏れていることに気づき、やはり場所が問題だったのかとやや後悔しつつも、こうなったら後には退けぬ。食べるしかないのだ。
また、通常の量でかなりのモノであるから、マウンテンでの大盛りメニューこと、ダブルを頼んだらそれこそ死を意味するだろう。
さて、今回食したメニューを順に、紹介してゆこう。
・和風サーモンピラフ
他にも注文しているお客さんがいるようで、ごく普通の安全メニュー。
単なるサーモンピラフと思いきや、和風と言うことで梅しそ風味なのは評価が分かれるところか。
普通に美味しい。
・カルボエッグ
カルボナーラにたっぷりとホワイトソースをぶっかけた一品。
ただでさえこってりとしたカルボナーラが、ホワイトソースのおかげでよりこってりとしている。
味は文句ないが、後半口の中が油まみれになるので食いづらい。
・納豆サボテン卵とじスパゲティ
極めてキワモノ色漂う危険なメニューと思いきや、納豆の醤油味とパスタが絡んで非常に美味い。
納豆特有の粘り気と臭いに抵抗がなければかなりいけるのではないか。
ただ、サボテンがピーマンのような味だったり酸っぱかったりと、サボテンには当たりはずれはあるようだ。
・甘口小倉抹茶スパ
とりあえず、一口食べてみた。
甘っ!!
パスタも甘ければ小豆も、クリームも甘い。とにかく甘い。
しかし、甘いと言っても、くどいような甘さではなく、普通に甘い。そのため、和菓子を食べる感覚で食べられるのだけど……。
パスタの味はほとんど暖かい草餅の味なので抵抗がないかと思いきや、見た目がスパゲティだからであろうか、なぜか猛烈な拒否反応を示したくなってくる。
決して不味くはない。むしろ美味しいのだが……
固定観念が俺の脳で暴れているのが本当によく分かる。
スパゲティはこんな味ではないんだ……って。
これ食べているとつきたてのよもぎ餅が食べられなくなりそうなほどのトラウマに襲われてしまう。
同時に、あんこの固まりの和菓子が嫌いになってしまいそうな勢いもあった。

約40分後。
テーブルの上には、甘口小倉抹茶スパだけが鎮座していた。
他の3種類のメニューはそんなに抵抗もなく、また、全員がお腹を空かせていたこともあって軽々と平らげることができたが、この料理だけは全員が最後の根性で頑張ったモノの、結局半分程度しか食すことができなかった。
おいらは少々考え、「熱いから固定観念がじゃまするのだ。では、冷やしてみれば大丈夫」とばかりに、冷ましておいた。
これで、普通の草餅になるはずだった……。しかし。
味は確かに草餅なのだが、伸びたスパゲティの舌触りが今度は俺の固定観念を刺激する。
何とも言えない舌触りが、これまた食欲を減退させてくれるのだ。
もはや、完全に敗北したと言わざるを得ない。

食後には何かを飲んで落ち着くことにしよう。
と言うワケで、エイボンさんがぱっと目に付いたホット巨峰ジュースを頼むことに。
他にも、カルピスラベンダーや生メロンジュースも注文した。
喫茶マウンテンは、安価でジュースやコーヒーが飲めるだけではなく、ミニケーキも付いてくるのでお得である。
しかし、スパゲティでお腹がそこそこに膨れた我々にとっては厳しいの一言でもあるのだが。
ホット巨峰ジュースやカルピスラベンダーなど、ぱっと見は怪しいのだけど、飲んでみると意外に美味しい。
ただ、どうしても癖のある味なので、好き嫌いは発生してしまうだろうが。
喫茶マウンテン。
確かにこの味と価格。数十年の老舗であることには疑う余地もない。
さらに、店内の雰囲気、そしてそのボリューム、突飛なメニューが、我々の心を掴んで離さない。
今度は胃薬持参でもう一度訪れたい、そんなお店でした。
後日、1週間ほど小倉を使った和菓子を見ると気持ち悪くなりました。
心に傷を負いたくない人は、無難なメニューで挑戦すべきだろう。

※画像・文章問わず無断転載は禁止です。