私は見てしまった。
見てはいけないものを見てしまった

今日の朝も、いつもどおりの通勤になると思っていた。
いつものように、地下鉄に乗って、ちょうど蔵前駅あたりで座席に座れる幸運に恵まれた。
特に変わりはなかった。

人形町駅で隣に座った、だいたい20代後半のサラリーマン。
週刊ポストを読みながらしかめっ面をしているおいらや、その他の乗客に見せびらかすがごとく、胸ポケットから取り出した黒い巾着に入った物体…。
それはPSPだった。

PSP自体、品薄だとは聞いているけど、電車内で見たのは初めてだ。
サラリーマンはなんだか誇らしげにイヤホンを付け、PSPで遊び始めた。いかにも「見せびらかしているぞ」的な雰囲気が満々。
おいらは気にしないように、雑誌を読み続けていたのだけど、新橋駅到着付近に来て異変が起きた。
電車がブレーキをかけたとき、隣のサラリーマンに男が軽くぶつかった。
そのとき。


ぽーん。


なんか飛んだ。

サラリーマンの足元に落ちたリッジレーサー。
おいらは伝説を見てしまった

サラリーマンは慌ててリッジレーサーのディスクを拾うと、恥ずかしさと焦りがにじむ顔をしながら、付属らしき布巾を使って必死でディスクを拭いていた。
おいらが(・∀・)ニヤニヤと顔を覗くと、露骨に嫌な顔をした。
一通りUMDディスクを拭いたあと、今度はPSP本体を丁寧に、何度も拭いているのを見て、おいらは哀れみの目でPSPを見つめていた。

三田駅で地下鉄を降りた瞬間。
どっと笑いがこみ上げてきた。

トイレに駆け込んで、思いっきり笑った。
もう泣きたくなるぐらい。

今日はもう、これを思い出しては笑いがこみ上げるので、仕事になりそうもない。



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