宇都井駅駅名標。

三江線という広島県と島根県を結ぶローカル線。
1日4往復しか電車が走らない、宇都井駅というところで下車しました。
この駅はおいらがずっと以前から来たいと思っていた駅でした。

「週刊現代」「週刊文春」などの週刊誌では、ときおり鉄道グラビアの特集を行ったりします。
全国の良い味を出しているローカル線や廃線になりそうな路線などを取り上げることがほとんどですが、稀にひねくれた特集をすることがあります。
どの雑誌に掲載されたかは忘れましたが、週刊誌に「全国のムダ鉄道」と題されたものがあり、成田新幹線や岐阜羽島駅、中央本線大八廻りや東広島駅などに並んでこの宇都井駅も取り上げられていました。
特集のテーマとしては「我田引鉄」といわれる、いわゆる政治家や地元の有力者が圧力を掛けて鉄道駅を作らせたりすることに対しての批判になるのですが、それによるとこの宇都井駅は竹下登元総理が「島根の発展のため、当時は三江北線、三江南線に分かれていた三江線を全線建設させ、さらにこのあたりの集落のため、強引な形に駅を作らせた」とのこと。
島根県の事情はよくわからないのでこれが本当に政治駅か嘘かの判断はできないものの、週刊誌に載っていたその駅の風貌には多大な衝撃を受けたものです。
今回念願叶って宇都井駅に来たのですが…早速降りてみましょう。


宇都井駅。

ぱっと見て、これが何だかわかりますでしょうか。
まっすぐに伸びた線路の真ん中に、垂直に伸びた塔のような建物があります。
これこそが宇都井駅です。
このありえない造形は、まさに衝撃的と言うほかありません。


宇都井駅。

宇都井駅の駅舎は、この真ん中にあるコンクリートの建物です。
高さは約30mで、中には階段が続き、1つの踊り場まで約10段、全部で12の踊り場があり全部で116段の階段があります。
踊り場まで約10段とあえて「約」という言葉が入るのは、時折9段や8段で到達するところがあり、知らずに登っていると「1段減った!?」などとどっきりしてしまいます。
なんというか、階段だけに怪談ネタにもなりそうです。

パーン


宇都井駅の待合室。

つまらないボケはこのぐらいにして、この搭のような建物の最上段には待合室があります。
待合室は定期的に掃除されていて、またゴミ箱も設置されており綺麗です。
駅ノートなどもありますが、時間は18時を過ぎていてやや薄暗い感じ。
電気をつける箇所もなく薄暗い感じが駅舎の不気味さをかもし出しています。
ちなみにトイレは、一番下まで降りたところに小さい小屋があり、そこがトイレになっています。


宇都井駅のホーム。

今の季節だと待合室よりもホームに出た方が明るいのでホームに出てみると、どちらの方向にも駅のホームを過ぎたところからすぐにトンネルがあります。
トンネルとトンネルの間に集落があるため、本来は駅の設置が見送られるはずのところに強引な形で駅を設置されたというところで、政治的な何かがあると思う人もいるのでしょう。


宇都井駅のホームからの眺め。

ホームからの眺めはこんな風で、宇都井駅周辺の集落が一望できます。
意外と集落にいる人の姿は肉眼でもはっきりと認識でき、ホームにいる自分たちもたぶん下から見えるのでしょう。
そしてホームには川の音や車が走る音、鳥の鳴き声、獣を撃つ銃声などが聞こえてきます。

唖然じ、銃声!?

そういえば三江線沿線で「猟友会」という看板を見たような…
たぶん害獣の駆除でもしているのでしょうか。


宇都井駅にライトがついた。

しばらく待合室でまったりしていると、突然電気が付いてびっくり。
どうやら18:45に待合室のライトがつくようです。

駅前には集落が広がり、決して秘境駅ではありませんが、あまりに不自然な形の駅はとても面白いものでした。
また機会があったら来てみたい…そんな駅でした。


※おまけ
宇都井駅への案内看板。

宇都井駅前にはバス停のほか、駅への案内看板があるのですが、正直1mに満たないぐらいの高さの看板を立てたところで、駅舎があまりにも特徴的だから意味がないと思います…

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